住宅に旅行者を有料で泊める「民泊」が全国で解禁された。増え続ける訪日外国人の受け皿として期待が高まる一方、近隣トラブルや治安悪化への懸念も絶えない。「おもてなし大国」ニッポンで民泊がイマイチ盛り上がらないのはなぜか。
◇
昨年12月、趣味の釣りのため、人気の山中湖(山梨県山中湖村)で宿泊することにした。釣りは午前3時には起床せねばならず、高級なホテルでゆったりできるわけではないので、民宿をインターネットで探した。古民家風の民宿が「2泊で7千円」となっており、これに決めた。
ところが、カーナビで目的地を設定し到着したが、予約した民宿の看板が見当たらない。すでに辺りは真っ暗で、民宿に何度も電話したが、誰も出ない。しばらくすると非通知の着信があり、電話に出ると、中国語なまりの男の声が聞こえてきた。
私「ナビの通りに来たが、何もない。太陽光発電の畑と閉店したそば屋があるが」
男「そこです」
私「ん? そば屋が…」
男「はい、そば屋の2階です」
嫌な予感がした。2階に上がると受付にいた中国人らしき男が「お金は現金で」と言う。明細もなければ、領収書もない。裏口に案内されて中に入ると、室内はきちんとリフォームされ、思ったより部屋もきれいである。しかし、部屋の鍵はなかった。