言い得て妙だと、はたと膝を打った。雑誌『新潮45』7月号の特集タイトル「こんな野党は邪魔なだけ」のことである。審議拒否を繰り返し、テレビ向けのパフォーマンスに明け暮れる野党は今、存在意義そのものを疑問視され始めたのではないか。
▼「さあ(予算委員会を)開くがいい、『この世の地獄』というものを体験させてあげよう」。共産党の宮本岳志衆院議員は16日、自身のフェイスブックにこう書き込んだ。立憲民主党の枝野幸男代表も、20日の党会合で訴えた。「延長して失敗したと後悔させるような残りの会期にしていく」。
▼まるで呪詛(じゅそ)のようである。国会は、いつから野党が政府・与党にむき出しの負の感情をぶつけ、憂さ晴らしをする公開リンチ場になったのか。それが国民の生活向上や、日々のささやかな願いの実現にどう資するというのか。
▼32日間の会期延長が与党などの賛成多数で決まった20日には、野党6党派の国対委員長がいったんは審議拒否の方針を確認した。4~5月に「18連休」を取っておきながら、もっと休みたいというのである。何と自由で気楽な稼業だろう。
▼国民の視線は、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の6月の合同世論調査を見ても厳しい。立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の5党の政党支持率を足しても18・5%で、自民党(39・7%)の半分にも届かない。
▼野党も、これまでのやり方はだめだと気付いてよさそうなものだが、その気配はない。手元の国語辞書によると、国会議員の異称である「選良」の意味は本来「選出された、りっぱな人」のことである。ただし、辞書はわざわざこう付け加えていた。「理想像を述べたもので、現実は異なる」