「アルツハイマー病は脳が萎縮し、エネルギー源であるブドウ糖が使えなくなることで発症する脳の糖尿病。糖が使えない患者にも、ココナツオイルが産生するケトン体が脳に届いてエネルギーとなり、再び脳が働き出すという理屈です」と白澤医師。「無香ならば好き嫌いは関係ない。ココナツオイルの有効成分、中鎖脂肪酸自体は無味無臭なので、香りが抜けても効果は全く変わりません」
白澤医師が院長を務める「お茶の水健康長寿クリニック」(東京都千代田区)ではアルツハイマー病患者に、ココナツオイルから中鎖脂肪酸だけを抽出したMCTオイルを処方。1回7グラム、1日3回摂取させている。
「肝臓で代謝される約3時間後には記憶力の回復がみられる」と白澤医師。「50代でバリバリ働いていた方が、点滴の針を刺していることも忘れて動いてしまう…。そんな悲惨なケースを診てきましたが、臨床では9割の患者に効果がある」と語る。肝心なのは、糖とトランス脂肪酸を控えた食事習慣を並行することで、健康な人でも学習能力向上が認められるそうだ。MCTをコーヒーに入れて乳化するまでよく攪拌(かくはん)すると、カフェラテのようにマイルドになって飲みやすい。