「いろんなものに興味もった」
元同僚の検察官による被告人質問は追及というより、叱り口調だった。
「被害者の気持ちを代弁して、いろいろなことを伝えたいと思って検察官の仕事をしていたんじゃないのか」
「鍵を盗んで家に侵入したときに自分が被害者を生み出すという意識はなかったのか」
「犯行期間中にも検察官の仕事していたよね。その合間に侵入していたのか」
矢継ぎ早に続いた質問に対し、元副検事は「被害者を生み出すという思いを忘れていた」とうなだれた。
追及の手は休まらず、石井寛裁判官も「何がしたかったかいまいちよく分からない。何がしたかったの」と質問。元副検事は少し考え込んだ後に絞り出すようにして、こう答えた。
「普段どういう生活をしているのか、部屋に入ってどういう物があるのか、何を身につけているのか、何を食べているのか、いろんな興味を持ってしまった」
この供述には、裁判官もあきれ果てた表情を浮かべた。
防犯カメラで発覚
公判では女性の所属や元副検事との関係性は明らかにならなかった。
一方で、事件発覚の経緯は女性が設置した防犯カメラの映像だったことが明らかにされた。自宅の鍵を盗まれたと思った女性は防犯カメラを自宅の出入り口付近に設置していた。防犯カメラは動く物に反応し、携帯に動画が送られてくる仕組みだった。