解答乱麻

横山大観「迷児」から今の日本を省みる 若者にも美術館、博物館鑑賞を 日本漢字能力検定協会代表理事会長兼理事・高坂節三

 大型連休中、皇居を望む北の丸公園にある国立近代美術館を訪れた。近代日本画の大家、横山大観の生誕150年、没後60年を記念して開かれた回顧展を見るためである。明治、大正、昭和を生き抜いた横山大観の代表作に接し、生涯を通観することのできるまたとない機会であり、日本画を通し近代日本の歩みを学ぶよい機会でもあった。

 時代を超えて描かれた有名な富士山の絵の数々は、実に魅力溢(あふ)れるものだった。それ以外にも今回初めて見ることができた「生々流転」なども生涯忘れることのない大作である。

 そうした多くの絵画に見とれつつ歩を進めるうちに、「おやっ?」とくぎ付けになった一枚の絵がある。「迷児(まよいご)」がそれで、幼い迷児を囲んで、孔子、釈迦、キリスト、老子の四聖が立っている。

 この絵が描かれたのは明治35年、あまりに急速に近代化した日本が、旧来の要素が色濃いままに混沌(こんとん)とした時代であった。20年代に明治憲法が作られ、帝国議会が開催されるなど、ある意味では日本が新しく再出発し始めた時代であり、暗中模索の、混迷の時代であったに違いない。

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