デジタル覇権の確立と併せて広域経済圏構想「一帯一路」による勢力圏拡大を図る権威主義的な体制を、国際社会に広げようとする既存秩序への挑戦だ。
この点では日欧も危機感を共有する。中国が今の路線を抜本的に改めるべきは当然である。
問題は、日欧と対立してまで米国がなりふり構わず動くことにより、本当に中国の覇権主義をとどめられるかどうかだ。
トランプ政権は、目先の貿易赤字削減に拘泥する。中国が米国製品の輸入拡大や対米輸出の削減で踏み込んだ提案をしたとき、取引(ディール)と称して、これをのむことは十分に想定できる。
米国が制裁関税を発動するのは7月6日である。米中両国は全面的な貿易戦争の回避に向けて交渉するとみられる。
だが、取引により中国の強国路線に時間を与えるようでは元も子もない。むしろその覇権主義を助長しかねないことを懸念する。