東京五輪への道

大学4年で才能開花 大橋悠依の美しい泳ぎの秘訣とは

美しい泳ぎはジュニアの練習が基盤

 美しい泳ぎの根幹をなす「フラットスイム」の水中姿勢は水面に沿うように体の軸が真っすぐに伸び、水の抵抗が小さくなる。近年、競泳界で主流になりつつある水泳理論だ。大橋はこの泳ぎ方を、奥谷さんの下で小学時代から取り組んできた。

 「ジュニアの間に泳ぎを整えておかないといけない」というのが、指導に長く携わる奥谷さんの方針。選手クラスの練習では、記録を縮めたり、長時間泳いだりすることに意識が向きがちだが、奥谷さんが重視するのは「最後まで姿勢を崩さずに泳げるか」。小学生から高校生まで、速さ以上に正しい泳ぎ方を意識づけている。

 練習メニューも異色だ。1日約2時間の練習は、最初の15分を姿勢維持のドリルから始める。例えば、背泳ぎの姿勢で足にフィン(ひれ)をつけて泳ぐ練習では、太ももが水面から出ているかをチェックする。姿勢が乱れてくると、足が自然と水面下に沈むからだ。ドリルを終えると、自由形、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4泳法をまんべんなく練習するが、合間に細かく姿勢を矯正する。個々の選手が専門種目に絞って練習するのは大会前だけ。それでも「(全力を出し切って)タイムを追うより、姿勢維持の練習の方が比重が大きい」という。

 どれだけ速くなったかを示す記録ではなく、客観的な数字では測れない部分を重視する練習で子供たちの意欲を維持するのは簡単ではない。「成果が分かりにくい練習ほど苦しいものはない」と奥谷さん。このため、体の軸を保つために水中で逆立ちさせたり、水を腕で捉える感覚を養うためにスーパーボールを手に持たせてみたりと、楽しんで取り組めるよう趣向を凝らしている。

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