東京五輪

東京五輪守るサイバー連携 イスラエルから最新技術導入、課題は人材育成

米国土安全保障省で危機管理対策に携わったセキュリティー専門家、ボブ・ジェンセン氏は「五輪をサイバー攻撃から守るためには1国では対応できない」と話す。協力国として注目されるのが、世界一のサイバー防衛能力を持つといわれる「8200部隊」を持つイスラエルだ。同部隊出身者が創業したIT企業「ケラグループ」はAI(人工知能)で犯罪者が攻撃の計画を密談する闇サイトに潜入し、攻撃の情報を先回りして入手する防衛技術を持つ。政府関係者は「ケラグループの技術を五輪対策で採用したい」と打ち明ける。

また、セキュリティー企業「ラック」(東京)の佐藤雅俊氏は「イスラエルは国籍に関係なく、相手企業の信頼性を評価して情報共有をしてくれる」とパートナーとしての利点を指摘する。

人材育成が急務

一方、日本の現場で技術を活用できる「人材が不足している」(日本イスラエル商工会議所の小木曽明夫理事)。経済産業省は、サイバー攻撃などに対処できる人材が20年に20万人近く不足すると予測する。

現状を打破するために、慶応大は今年3月、テルアビブ大などと人材育成の協力覚書を締結。交換留学の実施や日本の学生がインターネット上でイスラエルの学生とサイバー防衛について議論する取り組みを検討中だ。慶応大大学院の手塚悟特任教授は「イスラエルには、10代前半で選抜された生徒にプログラマーとしての訓練を実施するなど特有の教育システムがある。日本の学生が最先端の教育で育った現地の学生と切磋琢磨できる機会を作りたい」と話す。

イスラエル駐日大使のヤッファ・ベンアリ氏は「人材育成や技術の共有など日本に幅広い協力ができる」としている。

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