【モスクワ=遠藤良介】ロシアのプーチン大統領は14日、サッカーのワールドカップ(W杯)開幕に合わせて訪露した各国要人との首脳外交を始動させた。しかし、ロシアの国際的孤立を反映し、W杯を訪れる主要国の要人はきわめて限定的とみられている。プーチン氏肝いりのプロジェクトとして史上最多の費用が投じられたW杯初開催だが、外交面での成果は乏しいものになりそうだ。
露高官によると、14日の開幕式には17カ国・地域の首脳が出席。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子や北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長が目を引くのを除けば、大半は旧ソ連諸国・地域や中南米の国々だ。
出場32カ国で見ても、7月15日までの期間中、観戦に訪れるとみられているのは韓国やセルビア、スイスなど8カ国の首脳にとどまる。マクロン仏大統領が意欲的とされるが、現時点で訪露は固まっていない。
2014年のブラジル大会で、メルケル独首相やバイデン米副大統領(当時)、ベルギー国王夫妻、オランダ国王らが続々と観戦に訪れたのとは対照的だ。
ロシアは14年以降、ウクライナへの軍事介入、米大統領選への干渉を理由に欧米の経済制裁を科された。スポーツの一大祭典を友好ムード演出につなげたい考えだったが、欧米の反応は悪く、W杯外交は不発の色が濃い。