その時から40年以上が過ぎた。安倍晋三首相は世界の指導者に拉致問題を説明し、国連で拉致をテロとして北朝鮮に対する非難決議を実現し、国際包囲網を築いてきた。ここまで国際政治を動かしても、さらに米朝会談が行われても、結局、拉致問題解決の最後の決め手は、わが国のあり方である。
国民を守るという国家の最重要の責任を、わが国は果たせてこなかった。防げたはずの第二、第三の拉致も防げなかった。なぜか。政府とともに、「死んでいた」メディアに大きな責任がある。
とりわけ拉致を密出国と報じるなど、産経の対極を行った朝日新聞はひどく死んでいた。彼らは「モリカケ問題」で今も「死んでいる」と思う。(産経新聞出版・1400円+税)
評・櫻井よしこ(ジャーナリスト)