浪速風

拉致問題を解決できなければ国家の恥です

本紙朝刊「めぐみへの手紙」(7日付)に胸が詰まった。若い横田早紀江さんに抱かれた双子の弟に、めぐみさんが頬を寄せている。めぐみさんは4歳だという。なぜこんな子がさらわれなければならないのか。なぜ日本は、北朝鮮に拉致された被害者を救えないでいるのか。

▶古代ギリシャの哲学者、プラトンは、国の守護者が私利によって守護者たることをやめたときの国の様子をこう描いた。彼らは国民のために戦う味方であることをやめ、国民の敵となると。「憎み憎まれ、謀り謀られながら、全生涯を送ることになる」と(「国家」)。

▶安倍晋三首相は、トランプ大統領が米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるという約束を取り付けた。前進だが、本来、日本が解決すべき事件である。政治家たちよ、もり・かけ問題で「憎み憎まれ」ながら時間を空費している場合ではあるまい。「拉致問題を解決できなければ国家の恥です」。「手紙」の言葉が重く響く。

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