政府は、7日に米ワシントンで開催される日米首脳会談と、12日にシンガポールで行われる米朝首脳会談の行方を決して楽観はしていない。米国では11月に政権の是非を問う中間選挙が行われるため、功を焦ったトランプ大統領が、北朝鮮に安易な譲歩をしかねないとの見方が浮上しているからである。安倍晋三首相は、これまで築き上げてきた信頼関係をてこに、トランプ氏が正道を踏み外さないように説く役割が求められている。
11日には米プロバスケットボールNBAの元スター選手、ロッドマン氏がシンガポールを訪問するとの報道がある。仮にロッドマン氏が米朝会談に一枚かむと、会談はトランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の首脳同士の真剣勝負というよりも、華々しさを演出した「政治ショー」の色彩を帯びてくる。それでは核・ミサイル・拉致問題の解決はおぼつかない。
押され始めた米
また、トランプ氏が、対北朝鮮強硬派であるボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を、外しにかかっているとの観測もある。トランプ氏にしてみれば、「私のやることの邪魔をするな」ということだろう。
とはいえ外交交渉では、うまく成果を挙げよう、話をまとめようとせいた側が足元を見られ、立場が弱くなる。トランプ氏はそのわなにはまってはいないか。