アジア風雲録

岡山・美作市が公共施設にホー・チ・ミン像 在日ベトナム人ら反発、撤去求める

 人口約2万8千人の美作市は少子高齢化や労働人口の減少を受け、近年は外国人技能実習生を積極的に受け入れている。中でも企業に勤勉さが評価されるベトナム人の受け入れを積極的に進め、同国との交流推進にも力を入れてきた。

 平成27年には、同国の国立ダナン大学と人材交流促進などに関する相互協力協定を自治体で初めて締結。日本への定住や観光の促進など日越交流事業を展開してきた。

 同市は女子サッカーチーム・岡山湯郷ベルの拠点でもあり、32年の東京五輪・パラリンピック開催に向けてサッカーによる交流促進なども目指している。

 ホー・チ・ミン像の寄贈・設置にはこうした背景があり、市民からは「美作の現状は高齢化と人口減少に直面してゆく日本の縮図。生き残るには外国人の労働力に依存せざるをえない。市の苦しい立場もよくわかる」との声も。

 萩原市長は像の問題が起きる中、今年3月に市長選で再選を果たしている。

 萩原市長は「内戦により悲惨な思いをされ、ご苦労されたことはよく分かり、同情の気持ちはある」とした上で、「昨年は天皇、皇后両陛下が初めてベトナムを訪問され、友好親善を深められた。(像が)両国の友好の証となって(難民たちの)傷が癒え、乗り越えられていくことを願う」と像の設置に理解を求めていく方針だが、意見の対立は容易に解消されそうになく、騒動は海外の労働力が頼みの綱の地方都市の苦悩を浮き彫りにした格好だ。