主張

司法取引 組織犯罪捜査の切り札に

 上川陽子法相も、「検察当局は、刑事司法の在り方と調和させながら運用実績を積み重ね、時間をかけて、制度を定着させていく方針だ」と述べた。

 最高検は3月、全国の地検と高検に、基本的な司法取引の運用方針を通達し、重要な証言や証拠を得られる見込みがあるか、供述が十分信用できるかなどを見極める必要があるとしている。

 これはいわば、捜査の原則であり、常道である。地検が司法取引を使う際、当面は高検検事長が最高検と協議しながら指揮して慎重に運用するのだという。

 そうした実績を重ね、新制度が社会の信用を勝ち取れば、将来的にはテロ集団や暴力団関連の犯罪にも対象罪種を拡大することを検討すべきだ。

 司法取引の究極の目的は、首謀者を逃さないことにある。巨悪を眠らせないための捜査手法に育て上げてほしい。

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