クローズアップ科学

不漁が続くニホンウナギ 稚魚到来に風が影響、進む生態解明

 稚魚は黒潮の早い流れにいったん乗ると、最速約1週間で日本近海に到着する。日本への到着時期が数カ月も前後するのは、いつ台湾沖を訪れ、渦を脱出するかが鍵を握っている可能性がある。産卵時期や成長速度、海流の向き、渦の強さなどで変動すると考えられるが、詳しい研究はこれからだ。

太平洋の風が鍵

 一方、稚魚が減少する新たな要因も分かってきた。1950年代に年間200トンを超えていた国内の漁獲量は昨年、15・5トンに落ち込んだが、この長期的な減少は太平洋の風が影響していることを海洋研究開発機構と日本大の研究チームが突き止めた。

 チームは気象や海洋の観測データに基づき、93年から約20年間のウナギ回遊ルートの海流変動を模擬解析した。その結果、回遊ルートの内側を時計回りに吹く風が弱まる傾向にあることが分かった。

 風が弱いと北赤道海流は南方に移動するため、幼生の多くは台湾沖に向かわず、フィリピン沖を南下する別の海流に乗ってしまい、日本に来る個体が減って不漁になるという。

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