浪速風

最悪の事態、想定できなかったか

記者会見の終了時に頭を下げる日本大学の大塚吉兵衛学長=5月25日、東京都千代田区(飯田英男撮影)
記者会見の終了時に頭を下げる日本大学の大塚吉兵衛学長=5月25日、東京都千代田区(飯田英男撮影)

危機管理の要諦は、楽観的な予測をせずに最悪の事態を想定することである。そうならないよう、迅速、適切に対処しなければいけない。隠蔽(いんぺい)しない、うそはつかない、公になることでの損失を覚悟する。トップは全責任を負う心がまえが必要である。日大には危機管理学部があるのに、どうしたことか。

▶当初の「指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)があった」という説明で乗り切れると、甘くみていたのではないか。対応が後手に回り、誠実性が疑われて、火に油を注いだ。日大のドンと称される田中英寿理事長はいまだに記者会見もしない。アメフット部の旧弊が暴かれ、大学のイメージは失墜した。

▶関東学生連盟は、前監督と前コーチが反則行為を指示したと認定し、永久追放にあたる除名処分にした。いまさら日大が第三者委員会を設置して何を調査するというのか。最悪の事態を招いたこれほどの失敗例は記憶にない。危機管理学部の貴重な教材にすべきだ。

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