主張

党首討論 「国の基本」を問わぬとは

 国会の党首討論が1年半ぶりに開かれた。予想はついたが「国家基本政策委員会合同審査会」という正式名にふさわしい内容とは程遠い。

 その必要性やあり方を問い直す時期である。

 野党第一党である立憲民主党の枝野幸男代表と共産党の志位和夫委員長は、森友・加計両学園に関わる問題で、安倍晋三首相と応酬を繰り広げた。予算委員会でさんざん取り上げた案件だ。

 衆参両院は同基本委のルールとして「国家の基本政策に関する事項」を扱うことを定めている。党首らが国の重要課題に対する政策や見解を掲げ、国民の前で政権担当能力を競い合う場にする。それが本来の目的だった。

 枝野氏の持ち時間は19分、志位氏は6分だった。「モリ・カケ問題」を取り上げるなとは言わないが、国民のために、限られた時間を国家の基本問題に費やす発想はないのだろうか。

 北朝鮮に核兵器・弾道ミサイルをどう廃棄させるか。拉致被害者をどう取り戻すか。日本にとって死活的な課題に動きが出ようとしている。30年間で軍事費を51倍にした中国は、尖閣諸島の奪取をうかがい、南シナ海では軍事拠点化を進めている。

 これらと同様に国難といえる少子高齢化に備え、国や社会をどう造り替えるか。2040年度には190兆円にも達する社会保障給付費増にどう対応していくか。

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