京都府宇治市の「宇治川の鵜飼(うかい)(うかい)」で活躍する海鵜(うみう)(うみう)が、今年は4~5月の産卵期を迎えても卵を産まない状況が続いている。4年連続で繁殖に成功してきただけに、鵜匠の沢木万理子さん(44)は「何が原因かよく分からないが、今年はもう無理かも」と気をもんでいる。
飼育する宇治市観光協会では平成26年から毎年産卵に成功。人工孵化(ふか)(ふか)で誕生した計9羽の「うみうのウッティー」が育っている。今年は人工孵化ではなく、親鳥に抱卵と養育をさせる方針で臨み、飼育小屋もウッティーと繁殖担当の野生の海鵜とで分けるなど、誕生に期待をかけてきた。
5月中旬に1組のつがいが巣作り行動を見せたが産卵せず、鵜匠たちは擬卵を巣に置いたり、餌の量を減らしたりして様子を見てきたが、30日現在で産卵に至っていない。沢木さんは「雄と雌の繁殖のタイミングが例年と比べてずれていた」と話す。雌が巣に興味を示したときには雄が近寄らず、雌が巣から離れてから雄が巣作りに励んでいたという。
繁殖のずれに加え、飼育環境の影響や、寒暖の差が大きかった春先の気候、冬場に餌をやり過ぎたことなどが考えられるという。