進化しながら「歩行」を学ぶ四脚ロボット「Dyret」 オスロ大研究者らが開発

ロボットは地表の変化に気づかない

下の動画を見てほしい。モーションキャプチャ装置が移動距離や歩行速度を記録するなか、Dyretのシステムはさまざまな歩き方を試している。それに加え、ロボット自体に搭載されたセンサーも各歩行法の安定性を記録する。いい解決策であるほど、スコアも高くなる仕組みだ。

雪の上を歩くDyret。試行錯誤しながら歩こうとしているのがわかる。

「より安定したものや、より早い解決策のほうが選ばれる確率は高くなります」とニガールトは言う。結果として、ロボットは世代を重ねるほど進化するのだ。ちょうど、種が環境に適応していくのと同じように。

Dyretを新しい環境に投入するときにも、特別そのためにコーディングを行う必要はない。たとえもっと滑りやすい場所に置いたとしても、ロボットは勝手に歩行方法を適応させるのだ。

「ロボットは地表が変わったことにも気付きません。単に与えられた状況下でいちばん速く、安定して歩けるようがんばるだけなのです」と、ニガールトは言う。

体の状態の変化にも自分で対応

異なる環境下で歩行するために、Dyretは歩き方だけでなく体も変化させる。

4本ある脚は、それぞれ約12センチずつ伸縮させることが可能だ。ニガールトがロボットを雪上においた際、脚は安定しながらも適度な速さで歩けるくらい短くなったという。「脚が長いと重心が高くなるため、力が入りすぎたり安定性が失われたりするからです」

雪よりも摩擦が多く発生するカーペット上に置くと、Dyretは力強く大股で歩けるよう脚を長くした。

このシステムは、ロボットの体の変化にも適応する。「モーターのトルクを変えて実験したりもしました。バッテリーの残量が少なくなると自然に起きることです」と、ニガールトは言う。

というのも、脚が長いとロボットは力強く大股で歩けるようになる。「バッテリー残量が多いときには脚は長くなります。残量が少なくなると、脚を短くする代わりにスピードを上げようとするのです」

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