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難治アトピーに初のバイオ医薬品 適切な治療法、改善への第一歩

 根治させる治療法はなく、日本皮膚科学会のガイドラインのように、日常生活に支障のない状態を維持することを治療の目標に掲げる。五十嵐部長は「糖尿病、高血圧症をはじめ根治できない疾病はたくさんあります。病気を敵対視するのではなく、うまく付き合うことが大切です」とし、「医師、看護師、薬剤師とコミュニケーションを図り、自身の状態や思いを伝えて病気や治療に対する不安、不満を持って帰らないようにすることが大事」とアドバイスする。

 ◆新しい可能性を

 サノフィ(東京都新宿区)が4月に発売した「デュピクセント」(一般名・デュピルマブ)はアトピー性皮膚炎で初めてのバイオ医薬品。抗体となるタンパク質を使って免疫細胞から出るタンパク質の働きを阻害してアレルギー炎症を抑える。既存治療で症状が改善しない15歳以上の患者に対し、専門的な知識を持った医師が既存の標準治療と併用し、2週間ごとに注射する。治療困難だった症例にも顕著な軽快が確認され、五十嵐部長も「治療に新しい可能性を与える」と期待を寄せる。

 広島大学大学院医歯薬保健学研究科の田中暁生准教授は「従来とは全く異なる作用機序を持っています」とし、新薬はアトピー性皮膚炎の3つの症状に作用している。注射部位が硬くなったり、アレルギー性結膜炎、頭痛などの症状が出たりした例もあるが、重いものは起こりにくいという。

 日本医科大学大学院の佐伯秀久教授は2年間の治験(臨床試験)を終えた患者が5カ月後も良好な状態を保っているとし、「良い状態が一定期間続くことで、軽微な状態が持続している可能性があります。症状が良くなるという実体験を得て歩みを進めることが大切です。まずはこれまでのご自身を振り返り、適切な治療を受けていただきたい」と話している。

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