衝撃事件の核心

死刑求刑も判決が無期懲役でなく懲役30年の理由 大阪・門真の一家殺傷事件

さらに刃物の購入やネット検索という計画性も、以前の入院時も凶器を集めていたことから「妄想上の迫害者に対する防衛手段で用意したことを否定できない」と退けた。

小林被告の全ての犯行が妄想の支配下で行われていれば「心神喪失」となりうる。ただ判決は「凶器や民家への侵入方法など、妄想が事細かな指示をしていたとは考えられない」と自発的な意思も残っていたとして、心神耗弱状態と結論付けた。

「残虐さ際立つ」と有期懲役の上限選択

死刑を適用するか否かの判断では、判決は、犯行動機の立証ができていないことから「一家皆殺しが目的」とした検察側主張は採用できないと指摘。周到な計画性も、認めるに足る証拠はないとした。

その上で、平成21年5月の裁判員制度開始以来、被害者が1人の殺人事件で死刑が確定した事案がないことを例示。検察側に「死刑を選択することが真にやむを得ないとする具体的で説得的な根拠を示す必要がある」と求め、今回はそれがないとして、死刑は適用できないとした。

一方、判決は小林被告の犯行は「残虐さが際立っている」と悪質性を指弾。仮に心神耗弱でなければ無期懲役にすべき犯行で、「無期懲役とされた事件の中でも最も重い部類」とした。

刑法39条には「心神喪失者の行為は罰しない。心神耗弱者の行為は刑を減軽する」と規定されている。犯行当時、精神疾患などの病気で自身の行動を制御できなかったり、善悪のコントロールができなかったりした場合には、無罪または罪を軽くしなければならないということだ。

このため判決は、無期懲役にすべき小林被告の犯行について、有期懲役刑の上限の懲役30年とした。

とはいえ、極刑を求めていた遺族は到底納得できない。ある遺族は判決後「精神疾患があれば人を殺しても許されるなら、法律は間違っている。検察はこのまま終わらせないでほしい」とやりきれない思いを語った。

その後、検察、弁護側ともに大阪高裁に控訴した。

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