夢を思い出すにはビタミンB6が有効だった:研究結果

今回の実験では、普段からほとんど夢を覚えていることのない100人を被験者として選出。研究チームは、ビタミンB6またはビタミンB群が夢に与える影響を、二重盲検法で実験した。

被験者らは、ビタミンB6(240mgのB6)、ビタミンB群(尿の色に変化を及ぼすB2を除き、240mgのB6を含めたB複合体)、またはプラセボ群(結晶セルロース)の3グループに分けられた。そして5日間続けて就寝前にサプリメントを服用し、起きがけに夢の記録を付けるよう指示された。

「われわれの結果では、ビタミンB6を服用したグループは、プラセボ群と比べて、夢を想起する能力が向上することを示しています」と、アスピーは言う。

5日間の夢の総数は、B6グループが4.5回、プラセボ群が2.7回で、B6を摂取したグループはより多くの夢を見ることができた。しかし研究チームの予想に反して、ビタミンB6は、夢の鮮やかさ、異様さ、色彩、または睡眠パターンにおけるほかの部分に影響を及ぼすことはなかったという。

サプリや食品の有効性は要検証

驚くことに、サプリメントをとり始めるまでほとんど夢の内容を覚えていられなかった多くの被験者たちは、実験が終わるころには夢を思い出すことができるようになったと報告している。

「日にちが経つごとに、夢はよりはっきりとしたものになり、また思い起こすのも楽になりました。時間が経っても、部分的なものを忘れてしまうこともありませんでした」と、被験者のひとりはコメントしている

また、ビタミンB群を割り当てられたグループは、同量のB6が含有されていたにもかかわらず、夢に大きな影響は見られなかった。これについて研究チームは、B複合体のいくつかが、B6の夢に対する作用を打ち消し合うのではないかと推測している。

論文によるとB6と同様に、B1、B3、B5、B9は、睡眠に関与する神経伝達物質セロトニンの合成に重要だという。特にB1には、レム睡眠にかかわりがあることが示唆されているという。

ビタミンB6は、全粒穀物、豆類、バナナやアボカドなどの果物、イモ類やほうれん草などの野菜、乳製品、卵、魚や赤身の肉など、さまざまな食品に含まれている。しかし、これらを摂取することで、今回の研究と同じような効果が期待できるかどうかはいまだわからない。

B6のサプリメントの夢への効用についても同様だ。もしこれがB6の食事摂取量の少ない人々のみに有効である場合、長期間服用することで効果が薄れてしまう可能性があると、アスピーは言及している。

ちなみにアスピーは2017年の研究で、夢をコントロールする方法も発表している[日本語版記事]。明晰夢を見たり、それらを思い出したりしたい人たちは、ビタミンBと併用して試してみると、より成功率が上がるかもしれない。夢見の良し悪しは保証できないが。

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