米中通商協議

衝突回避で歩み寄りも火種残す 政権内対立も

 米中両政府は、「貿易戦争」に至る決定的な対立の回避で歩み寄った。トランプ米大統領が求める貿易不均衡の是正に向け、中国側は米農産物などの巨額輸入に同意した。だが米政権内には、中国の知的財産侵害やハイテク産業育成策への不満がくすぶっており、米中の火種は残ったままだ。

 「大統領はこれまでになく楽観的だった」

 米政権で経済司令塔を務めるクドローNEC委員長は、18日の米テレビ番組でこう指摘し、トランプ氏が今回の米中協議の成果に手応えを感じている様子を伝えた。

 通商分野の公式協議は昨夏以降、途絶えていたが、今月初めに米交渉団が北京を訪れ、米中対立が激化して以降、初めて協議入り。これに続く会合だった今回は、中国の習近平国家主席の経済ブレーンである劉鶴副首相が訪米。米側は穏健な対中姿勢のムニューシン財務長官が代表となり、「建設的な議論」(政権幹部)が交わされたという。

 ただ、北京とワシントンでの協議の過程で、米政権内の路線対立も鮮明になった。北京会合に際し、厳しい対中政策で知られるナバロ通商製造政策局長と、ムニューシン氏が交渉姿勢をめぐり「激しい言い合いになった」(米紙ニューヨーク・タイムズ)という。

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