【書評】『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』 - 産経ニュース

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書評

『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』

『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』大竹昭子著(文春文庫・1100円+税)
『須賀敦子の旅路 ミラノ・ヴェネツィア・ローマ、そして東京』大竹昭子著(文春文庫・1100円+税)

 〈最初の著作が出たのが六十一歳で、六十九歳のときにはもうこの世を去っていた〉。限られた期間の著作活動だったにもかかわらず、多くの愛読者を集める作家、須賀敦子。生前の彼女と親しくしていた著者が、須賀の生きた場所を訪ね、関わった人々に話を聞いて歩いた記録だ。

 著作の場面が数多く引用されるイタリアへの旅は、興趣に富む紀行文が楽しめる。空白期を追う東京での取材、ロングインタビューを収めた後半は、作家論、作品論としても読みどころ満載。没後20年。須賀作品をより深く味わうための良きガイドとなるだろう。(大竹昭子著/文春文庫・1100円+税)