iPSで心不全治療、厚労省が臨床研究を了承 大阪大が世界初、今年度中にも心筋移植

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったシート状の心筋を重症心不全患者の心臓に移植する大阪大の臨床研究について、厚生労働省の部会は16日、計画の実施を了承した。同大によるとiPS細胞を使った心臓病の臨床研究は世界初で、今年度中にも移植手術を行う。

 iPS細胞を使った臨床研究は、平成25年の理化学研究所などによる目の病気に続く了承。今回は日本人の死因の第2位を占める心臓病が対象で、本格的な臨床応用の第一歩となる。同省の部会は、実施計画の文言を一部修正する条件付きで認めた。

 臨床研究は虚血性心筋症という心不全の患者が対象。心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、血液を送る力が衰える病気で、重くなると死に至る。心不全は特効薬がなく、高齢者を中心に患者が増加している。

 計画では、拒絶反応が起きにくい免疫タイプの健常者の血液から京都大が作製、備蓄しているiPS細胞を使用。これを大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)らのチームが心筋細胞に分化させ、直径数センチ、厚さ約0・1ミリの円形シートに加工し、患者の心臓に移植して貼り付ける。

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