加須市、AIで特定健診案内

 加須市は今年度、生活習慣病を予防する特定健康診査を受診してもらえるようAI(人工知能)を活用して対象者に受診を呼びかける。特定健診の受診率が30%前後と低迷する加須市は、県内63市町村でも最低水準。AI導入で受診率向上を目指すとともに、脳卒中などの重大な病気を防ぎ、膨らむ医療費を抑止する狙いもある。

 市健康づくり推進課によると、国の特定健診の受診率の目標は60%。市の受診率は平成27年度28・4%、28年度は30・9%で2年連続で県内最下位。これまで未受診者には、はがきや電話による受診勧奨や医療機関への協力要請など、さまざまな機会を通じて受診を呼びかけたが、受診率は伸びなかったという。

 AI導入は民間業者に委託し、過去5年間の特定健診の受診状況を基に、未受診者が受診行動を起こす可能性を数値化。勧奨対象者を抽出し、過去の受診時の問診結果から勧奨対象者の心理特性を分析、4タイプに分類する。タイプ別に受診を促す4種類のメッセージを用いて特定健診の受診を呼びかける流れだ。

 加須市の特定健診は今月中に受診券を国民健康保険加入者約2万2千人に発送。夏と秋の2回、その時点の未受診者にタイプ別の受診勧奨メッセージを送付する予定だ。

 県内では、すでに2市町がAIを活用しており、28年度に導入した嵐山町の受診率は前年度比7・2ポイント増の47・3%に伸びたという。加須市健康づくり推進課は「民間のノウハウを借りるのも一つの方法だ。何とか受診率の向上につながってほしい」としている。

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