ラグビーに「ホスピタル・パス」という言葉がある。パスを受けた瞬間にタックルされると、無防備でけがをしやすい。つまり「病院送り」だが、不用意なパスの戒めでもある。選手たちは練習で肉体を鍛え、技術を磨くが、フェアプレーの精神が大切なのは言うまでもない。
▶アメリカンフットボールのタックルの衝撃は、自動車が時速56キロで壁に激突するのと同程度という。テレビで繰り返し流れる映像に戦慄した。パスを投げ終えた関学大のクオーターバック(QB)が、日大のディフェンスの選手に背後から激しくタックルされ、「くの字」に折れて倒れ込む。明らかに意図的な反則である。
▶関学ではかつて、エースQBが試合中のタックルで下半身不随になる事故があった。司令塔であるQBはタックルを仕掛けられることが多い。が、勝利至上主義でルールを無視しては、スポーツではない。まして学生スポーツは教育の一環である。指導者の責任は大きい。