がん電話相談から

膀胱がん、BCG注入療法後に再発疑い

 Q 66歳の男性です。10年前、筋層非浸潤性膀胱(ぼうこう)がんの診断を受け、TUR-Bt(経尿道的膀胱腫瘍切除術)を行いました。半年ごとに6回、低グレードで深達度Taの再発を繰り返したため、BCG(ウシ型弱毒結核菌)膀胱内注入を実施。4年間は無再発でしたが、T1のハイグレードで再発しました。2度目のBCG注入を6回実施、副作用で痛みが強く、維持療法はできませんでした。2年半、無再発でしたが、最近、排尿痛が出てきて、膀胱鏡検査で粘膜に発赤の所見がありました。尿細胞診の結果はまだ出ていません。再発だと困るので、1カ月後に再検査の予定です。今後、BCG療法は3回目もできるのでしょうか。

 A 筋層非浸潤がんの中で、悪性度の高いハイグレードのがんが粘膜の下に浸潤してT1となります。ガイドライン上はT1の膀胱がんがBCG注入療法後に再発した場合、繰り返しBCGを行ってもさらに浸潤がんとなって再発したり転移したりする危険性が上がってくるので、膀胱全摘を考えるのが原則です。

 発赤の所見だけでは炎症か上皮内がんであるのか分かりません。尿細胞診の結果や、膀胱鏡所見で経過を見て、再発の疑いが晴れなければ、再度TUR-BTを行い正確な診断をつけることが必要です。やはりT1ハイグレードなら、膀胱全摘の検討が必要です。

 Q 1回目に比べ、2回目のBCG療法はとても痛かったです。この次に行ったら、痛みは強いでしょうか。

 A BCGの副作用は、一般的に回を重ねるごとに強く出ます。我慢して続けると、膀胱が小さく硬く萎縮してしまうこともあります。低グレードTaの再発であれば、少し有効性は低いと考えられていますが、副作用の少ない抗がん剤の膀胱内注入という方法もあります。

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 回答には、がん研有明病院の米瀬淳二泌尿器科部長が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力:がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、(電)03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談が本欄に掲載されることがあります。

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