絵本「ちいさなあなたへ」(アリスン・マギー文、ピーター・レイノルズ絵)は、子に寄せる母親の愛情をシンプルな言葉と絵でつづった佳品である。「あのひ、わたしは あなたの ちいさな ゆびを かぞえ、/その いっぽん いっぽんに キスを した」。
▶生まれたわが子をいつくしむ母の姿が目に浮かぶ。幼い子の頬の上で溶けていった雪。道路を渡るときしがみついてきた手。育つ過程のいろんな情景が描かれる。巣立ち、老いていく姿も、母親は慈愛を込めて思っている。長い年月が過ぎて、あなた自身の髪も銀色になる日がやってくる、と。頭に白いものが増えてしまったわが身が重なる。
▶それでも子に注がれる母親の愛情は変わらない。「わたしの いとしいこ。/そのときには、どうか わたしの ことを おもいだして」。どんな時代でも場所でも、この愛情は変わることがないのだう。13日、母の日。それぞれに母を思う日としたい。