株式会社に義務付けられている「決算公告」。中小を中心とした非上場企業で、これを行わないケースが多いという。違反すると100万円以下の罰金が課されるものの実際に適用例は少なく、決算を開示せずとも事業、取引は行えるためだ。ただ、会社のコンプライアンス(法令順守)を問う声は年々強まっており、今後、中小企業の決算公告をめぐる環境は変わる可能性もある。(織田淳嗣)
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会社法440条では、定時株主総会の終結後「遅滞なく」、貸借対照表またはその要旨を公告しなければならないと定めている。規模の大きな会社はさらに損益計算書も必要となる。より詳細な「有価証券報告書」を提出が義務づけられている上場会社や、会社法施行以前に決算公告義務がなかった特例有限会社(旧有限会社)は、これらは必要ない。
公告の方法は、会社の事業目的などを記した「定款」に定めがない場合は、官報となる。官報以外には日刊で発行されている新聞への公告のほか、平成13年の会社法改正によりインターネットで掲示ができるようになった。5年間の掲載が義務づけられている。自社のウェブサイトがない場合は、専門業者のサイトでの掲載もできる。