授乳中の薬、大丈夫? 母乳のメリット考慮し科学的に影響評価

授乳中の薬、大丈夫? 母乳のメリット考慮し科学的に影響評価
授乳中の薬、大丈夫? 母乳のメリット考慮し科学的に影響評価
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 授乳中に病気になり、薬を飲んでも大丈夫なのか心配する人は多い。母乳の代替として人工ミルクもあり、「服薬するなら授乳をやめる」という選択もある。ただ、母乳育児は大きなメリットがあることから、不必要に授乳を中断することがないよう、授乳中の服薬による赤ちゃんへの影響について科学的な評価が行われている。(平沢裕子)

 ◆添付文書で禁止7割

 母乳は人工ミルクに比べ、栄養面や経済面などでの多くのメリットや、乳児の感染症予防効果などがあることが分かっており、厚生労働省も母乳育児を支援している。

 ただ、授乳中の母親に薬を飲む必要が出たとき、日本では簡単に母乳をやめてしまう傾向がある。日本産婦人科医会の松岡幸一郎理事は「母乳を通して薬が赤ちゃんに影響を与えることを心配してか、なるべく薬を使いたくないと思う母親は多い。また、治療にあたる医師や薬剤師で対応が異なることがあり、母親が混乱する一因となっている」と指摘する。

 医療従事者間で服薬と授乳への判断が異なる一因として挙げられるのが、医薬品の添付文書の記載だ。添付文書では、妊産婦の場合と同様、授乳中の女性の服用に慎重な記載が多い。大分県の小児科医や産婦人科医、薬剤師らが平成21年に結成した「『母乳と薬剤』研究会」が調べたところ、約700の医薬品中、7割に「授乳中止」と記載されていた。

 ◆不使用でデメリットも

 抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」もその一つ。タミフルを製造輸入販売する中外製薬広報IR部は「母親が飲んだタミフルは母乳中に移行することが分かっており、この母乳を飲んだ乳児の詳細なデータがない。授乳中にタミフルを飲んでも大丈夫といえる明確な根拠がない以上、授乳時の服用は避けてほしい」と説明する。

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