こうした手法は「債務のわな」と批判される。3月にはティラーソン米国務長官(当時)も、一帯一路の参加国が、完成したインフラを中国側に譲渡する事態に対し、「主権の一部を放棄しないで済むよう(事業契約を)注意深く検討すべきだ」と呼び掛けた。
対外債務がGDPの8割…返済能力に疑義
そんな中、米シンクタンク「世界開発センター」は今年3月、一帯一路参加各国の債務についての調査結果を公表した。返済能力や債務の中国への依存度などについて、IMFのデータなどから検証している。
債務にリスクがある国とされたのが、ジブチ、キルギス、ラオス、モルディブ、モンゴル、モンテネグロ、タジキスタン、パキスタンの8カ国だ。
報告によると、東アフリカのジブチは対外債務が2年間でGDPの50%から85%に増加した。大半の債権を抱えるのは中国だ。東南アジアのラオスでは、最大67億ドル(7327億円)に達する鉄道プロジェクトが国のGDPのほぼ半分を占め、債務返済が難しくなる可能性を指摘した。
中央アジアのタジキスタンでは、IMFと世界銀行が債務について「リスクが高い」と評価しているが、今後もさらなるインフラ投資が行われるという。
調査で「最大のリスクを負っている」と指摘されたのが、パキスタンだ。一帯一路関連プロジェクトである中国・パキスタン経済回廊(CPEC)に基づいて、インフラ整備が進行中で、中国から約620億ドル(6兆7800億円)の融資が見込まれている。調査は「高い金利が、パキスタンのリスクとなる」と警告した。