新顔の外来ザリガニによる水辺の生態系への脅威について環境省が全国に注意喚起を始めた。
雌1匹だけで子孫を残す特異な観賞用ザリガニ「ミステリークレイフィッシュ」が、国内の天然水域で発見され始めたためである。
外来生物として、先輩格であるアメリカザリガニは、昭和の初期に移入されてから約90年間で、北海道から南西諸島までの全国に分布を拡大してしまった。
近年、各地でトンボ類や地域固有の水生昆虫、水草などへのアメリカザリガニの害が目立ち始め、水域の汚濁化も含めて深刻な環境問題になっている。
今回、環境省が池や用水路などの野外で発見した場合の連絡を求めているミステリークレイフィッシュは、アメリカザリガニ科の一員だ。
1990年代にドイツで見つかり、マーモクレブスという名がついた。体に大理石模様があるためマーブルクレイフィッシュなどとも呼ばれる。
外見はアメリカザリガニと似ているが、繁殖方法が全く違う。
雌だけで子孫を残す単為生殖なのだ。この珍しさが人気を呼んで、日本国内でも愛好者が飼育するようになっていた。
だが、1匹でも逃亡したり、放たれたりすると自然界で猛烈に繁殖する可能性がある。ペットとするには注意が必要なのだが、12年前に札幌市内で、2年前には愛媛県松山市の川で野外個体が捕獲されている。