子供向け道徳本、続々刊行「答えのない時代」の親子の道しるべ

 「道徳本」の刊行が相次ぐ背景について、熊本大教育学部の苫野一徳准教授(哲学・教育学)は「今の社会は、多様な価値観があり、何が正しいのか分からなくなっている。答えのない問題も多い。最近では大人の間でも哲学がはやり、人間の生き方に関心が高まっている。そういった状況のなか道徳の教科化をきっかけに、子供に教えるべき価値観は何なのかという関心が保護者の間で生まれているのではないか」と話している。

(文化部 油原聡子)

 道徳の教科化 平成23年10月に起きた滋賀県大津市での中2いじめ自殺をきっかけに、道徳の教科議論が高まった。小学校で今春から、中学校では来春から「特別の教科」としてスタートする。文部科学省では「考え、議論する道徳」を目指している。検定を受けた教科書が使われるが、評価は、数値ではなく記述式で行い、入試では使われないとしている。

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