多様な悩み
漫画形式で読みやすいのが、「みんなで道トーク!」(河出書房新社、全3巻)だ。昨秋から刊行、友達との関係やグループ行動など、小学校5年生が日常生活で直面するちょっとした悩みを通し、道徳について考えるヒントをくれる。
たとえば、1巻の「学校編」では、好きな人についての話題で友達グループが盛り上がるなか、恋愛話が苦手な女の子が、このままグループに残るかどうかを悩む様子が描かれる。残った場合と去った場合のメリット、デメリットに加え、いじめの原因にもなる「同調圧力」についての解説も記されている。
いじめなどの普遍的なテーマのほか、手芸や本などが好きで女子と気の合うことでからかわれてしまう男の子や、尊敬できない父親のいる男の子など、多様な悩みを持った子供たちが登場する点が特徴的だ。
同書を監修した、千葉大学の藤川大祐教授(教育方法学)は「道徳的な課題とは、他の子供の悩みに寄り添って考えられるようになること。共感できなくても自分と違う人はたくさんいると悩みを理解する態度が必要。それこそが道徳性なのではないでしょうか」と話す。