答えのない問
3月に発売され、すでに発行部数5万部と異例の売れ行きを見せているのが、「答えのない道徳の問題 どう解く?」(ポプラ社)だ。著者は、広告会社に勤務する子供のいるクリエーターの男性3人。
絵本のような作りが特徴で、大きなイラストに短い文章が添えられている。「命」や「正義」「夢」などを扱っており、「ネット上の友だちと学校の友だち、どっちが本当の友だちって言えるんだろう?」などの疑問を提示。考えるヒントとして、さまざまな意見を提示する。テーマに合わせて、ジャーナリストの池上彰さんや将棋の羽生善治棋聖ら著名人13人の意見も紹介する。
特設サイトの開設やワークショップの開催などもあって、メディアで大きく取り上げられ、発売前に2度増刷。同社によると、児童書は有名作家でもない限り、初版数千部が一般的。異例のヒットといえる状況に、編集担当者の花立健さんは「今は未来が見通せない時代。子供には、答えのない問を考える力を身につけてほしいと考える保護者の方も多い。そこに道徳の教科化もあり、潜在的なニーズに合致したのではないでしょうか」と指摘する。