産経抄 5月5日

 毎年5月3日の憲法記念日には、げんなりする光景が目に飛び込んでくる。今年は東京都内で開かれた護憲派集会で、作家の落合恵子さんが、安倍晋三首相とその内閣について訴えていた。「戦争大好き内閣と呼ぶしかありません」「独裁者は自らの欲望のために最後は破滅する」。

 ▼集会のテーマは「平和といのちと人権」だったが、「戦争大好き」「独裁者」と決めつけられた安倍首相の人権はどこへ行ったのか。かと思うと、群馬県高崎市での護憲派集会では、安倍首相をヒトラーに模したコラージュ写真が映し出された。

 ▼写真の説明文は、憲法に自衛隊が明記されるとどうなるかに関し、こう例示していた。「自衛隊が国軍となり世界へ派兵」「米軍の命令で日本人兵士が死ぬ」「高校に制服の兵士がリクルートに」「監視・格差の強化、戦前型の社会」。

 ▼全部でたらめではないか。自衛隊が憲法に位置づけられたら、どうして米軍の指揮下に入ることになり、格差が広がるのか。支離滅裂なだけでなく、制服自衛官への差別・排除意識もにじむ。自分たちと考えが異なる他者にも当然、人権があることが理解できないらしい。

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