【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権でボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やポンペオ国務長官などトランプ大統領に近い閣僚らの発言力が強まる中、ケリー首席補佐官の影響力が著しく低下しているとの見方がワシントンの政界関係者の間で強まっている。ケリー氏が補佐官に就任して7月で1年となるのを機に辞任するとの観測も広がり始めた。
ケリー氏は、ホワイトハウスでの政策決定の混乱を避けるため、各省庁や政府機関などからの情報を自身の下に集約し、トランプ大統領に報告する体制の構築を目指した。
しかし、トランプ氏は逆に、ケリー氏が重要情報を上げるのを制限しているとの疑念を強め、ケリー氏を素通りしてボルトン氏やクドロー国家経済会議(NEC)委員長から直接話を聞くことが増えたという。
米NBCテレビが4月30日、当局者の話として報じたところでは、ケリー氏は今年2月の韓国・平昌五輪が開催される前、トランプ氏が在韓米軍の撤収を指示しようとしていたのを思いとどまらせた。
ケリー氏はまた、ホワイトハウスでの自身の役割について、トランプ氏が常識では考えられない政策判断を次々と下すのを押しとどめる「唯一の防波堤」だと職員らに説明していたとしている。