異聞~要衝・奄美大島(上)

「中国にのみ込まれる」大型クルーズ船寄港計画の裏に…

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 地元の地方議員からは「国は観光振興の一環として中国の富裕層を連れてこようとしている。ではなぜ、こんな小さな集落の西古見になるのか」といぶかしむ。

 経緯に不自然な点も多い。町は候補地となったことから誘致支援を求める要望書を鹿児島県に提出した。だが、そもそも町はその前に全町民に十分に説明し、同意を得るなどの手続きを踏んでいなかった。

 秘密裏に誘致を進める手法に対して不信感と反発が広がる中、町は「メリットがあるかどうか、誘致できるかどうかを精査している段階。排水量など船の規模も船会社もまだ明確ではない。住民に説明をしながら具体的な計画は県を通じて国に確認していきたい」(企画課)と説明している。しかし議会関係者は、国交省が昨年春、港湾局の職員を県の観光クルーズ船担当に据えていることなどから「国が動いていることは間違いない」とにらんでいる。

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 西古見集落には旧日本陸軍の兵舎跡や弾薬庫跡、大島海峡に入ってくる艦船を監視する監視所跡のほか、先端の曽津高崎(そっこうざき)には防空壕(ごう)跡が残されている。多くの戦跡は防衛上、重要な拠点であることの象徴だ。目と鼻の先には、陸海空の自衛隊が離島奪還訓練を行った江仁屋離(えにやばなれ)島を望む。

 防衛省は2年間で総額550億円の防衛費を投入、島北東部の奄美市大熊で陸上自衛隊の「奄美駐屯地」、島南西部の瀬戸内町節子(せっこ)地区で同じく「瀬戸内分屯地」を建設している。今年度中に奄美駐屯地には中距離地対空誘導ミサイル運用部隊350人、瀬戸内分屯地には210人の地対艦誘導ミサイル運用部隊を配備する。

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