作詞家の阿久悠さんは、時事ネタを扱った「ニュース詩」を書いた。ニュースが呼び起こす気分や感性、時代の風のようなものを書きたかったという(「ただ時の過ぎゆかぬように」)。「黄金週間」という作品では、列島の大移動のもようを、いささか辛辣(しんらつ)な筆で描いている。
▶苦と労を背負って、まなじりを決して出かけて行くことはない、と。まあそれはそうなのだが、多くの職場で、ある程度まとまった休みが取れる時期はだいたい決まっている。大型連休と盆、正月くらいなもの。混雑を覚悟で、行楽へ、帰省へと出かけるのは、けなげでもある。連休中も仕事がある人には申し訳ないが。
▶阿久さんが言いたかったのは次のようなくだりだろう。「遊びとは余裕の心ではなかったか/休むとは余裕の心ではなかったか。要は、心の余裕や優雅な時間を大切にすればいい。渋滞も予想されている。みなさんくれぐれもお気をつけて。楽しく過ごしてください。