日本きのこセンターグループ(鳥取市)は、低温で乾燥させる新しい干しシイタケの製造法を開発した。乾燥に必要な燃料を従来の半分以下に減らせ、できた干しシイタケは熱湯で15分ほどで戻して料理に使える。同グループでは「干しシイタケの画期的技術」として全国に普及を図る考えだ。
従来、干しシイタケを作るには45度の状態で乾燥を始め、5時間ごとに5度ずつ温度を上げ、55度で仕上げ乾燥する。新乾燥法では22~28度で15~25時間乾燥させた後、55度で10時間程度、仕上げ乾燥する。
製造時間は新乾燥法が25~30時間で、従来の25時間と大差ないが、低温のため乾燥用の灯油が従来の半分から3分の1に減る。
新乾燥法の干しシイタケは80~90度の湯に入れ10~15分で戻る。水につけて半日かかった従来品より、格段に短くできた。検査機関などの分析では、うまみ・コクが従来品の1・5倍、シイタケの特徴的な機能性成分のグアニル酸は1・5~2倍に達した。
新乾燥法は2年半をかけ開発。ほだ木からとらないままにし、自然に乾燥した「木干しシイタケ」の食味が良いのに着目、木干しの温度帯での乾燥実験を繰り返して実現した。新乾燥法は特許を出願した。
同グループによると、シイタケの流通は多くが「干し」だが、水戻しに時間がかかることなどから、一般家庭などでの消費が減っている。新乾燥法は、干しシイタケの生産・消費拡大に向けた起爆剤として期待がかかる。
新乾燥法の干しシイタケは、すでに国内流通大手などが取り扱いを決めており、5月から関東の主要スーパーなどで試験販売がスタート。同グループでは全国の主要産地で生産指導などを進め、普及を図ることにしている。