脱車社会を実現できるか-。群馬県は、マイカー以外の移動手段を確保するため、公共交通の利便性向上を図り、電車やバスを基盤としたライフスタイルを目指す「交通まちづくり戦略」を策定した。平成30年度から20年間にわたり、段階的に政策を実行していく。県の担当者は「このままでは移動手段がなくなる。県民に警鐘を鳴らしたい」と意気込む。(吉原実)
群馬県は戦略を通じ、生活拠点を分散させず、さまざまな移動手段でつなぐイメージを描く。
策定のきっかけは、県民の移動手段や距離など1日当たりの行動を調査するため、27年から2年間かけて行われた「パーソントリップ調査」だった。
調査の結果、高齢者の外出率はマイカーを所有する場合は約77%であるのに対し、所有しない場合は約45%にとどまることなどが判明。また、代表的な交通手段に占める鉄道の利用率は約2・5%、路線バスは約0・3%にすぎないことも分かり、過度の「車依存」が裏付けられた。
このまま対策を講じなければ、運転免許を持たない人の移動手段が減るほか、採算の取れない鉄道・バス会社は路線廃止などを余儀なくされる恐れがある。