ニホンウナギの稚魚、シラスウナギの漁期は4月末で終わる。今年の歴史的な不漁は避けようもない。
親ウナギを含む過剰な漁獲の他、ウナギの生息環境の悪化、海洋環境の変動が理由である。不漁の要因を徹底的に分析して対策を講じ、資源回復を急がねばならない。
とりわけ、密漁を含む乱獲防止は喫緊の課題である。
シラスは毎年12月から翌年4月までの漁期、特に新月の夜に、河川や海岸線で小型の定置網や網を使って採捕される。長さ6センチ、重さは約0・2グラム、ごく少量の水があれば簡単に持ち運べる。そのため個人で漁を営む者が多い。
採捕者には登録と報告が義務づけられている。ところが、採捕した量や場所の特定をさけるため報告を怠る者も少なくない。水産庁や関係自治体、警察などには強い姿勢での対応を求めたい。
捕ったシラスは集荷業者に集められ、複数の業者の手を経て、養鰻(ようまん)業者に供給される。多段階の流通経路と供給不足のため、高騰する売買価格が乱獲、密漁の原因ともなっている。
養鰻業者には許可証を持つ者以外からのシラスを入手しないよう指導を強化すべきだ。密漁、密輸防止には、採捕量と養鰻業者の池に入れる量の徹底した管理が不可欠だ。反社会的勢力もからむ複雑な流通経路にメスを入れたい。