〈福島〉平成29年度の県産農産物の輸出量が、過去最高の約210トンになったことが23日、分かった。内堀雅雄知事が記者会見で明らかにした。マレーシア向け米輸出量が100トン超だったことなどが、大きく寄与した。内堀知事は「国や関係機関などと連携し、現地目線による効果的な販売で、さらに輸出を拡大したい」と意気込みをみせた。
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◆トップセールス結実
県によると、輸出量が最も多かったのは米で、前年度の5・5倍、122・5トンに達した。このうち101トンはマレーシア向けで、昨年8月、同国を訪問した内堀知事が現地業者などと輸出拡大で合意したトップセールスが結実した形だ。
マレーシアでは、中心街のほかリゾート地にある日本料理店などでも県産米を使う料理店が増加。扱い店は少なくても30店舗を超えるという。また、週末に試食販売をする小売店もあり、地道な取り組みも効果を上げている。
県産果物の代表格、桃の輸出量は前年度比1・6倍の47・9トン。タイ向けが多く、28年度に同国の取り扱い店舗は30店程度だったが、29年度は70店超に増加。現地で県産桃の評価が上がり、扱い店が増えたことで、輸出量も伸びたとみられる。
このほか、会津みしらず柿が同5・6倍の約17・5トン、梨は約20倍の12・5トンに急増した。
◆さらに世界へ発信
県産農産物の輸出量は22年度に153トンを記録。しかし、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故、その後の風評被害などにより、24年度は約2トン、25年度も約5トンと激減した。その後、回復基調にあるものの、28年度は約66トンと低迷が続いていた。
県産農産物の輸出量が過去最高を更新したことに、内堀知事は「一時は輸出量がほぼゼロまで落ち込み、回復できるか厳しい状況だったが、ここ2、3年は理解が進み、安全対策、モニタリングの評価、品質の高さ、おいしさが見直されたと実感している」と強調。
一方で「風評被害は現在進行形だ。厳しい状況にあると認識しおいしさや安全性をさらに世界に発信し、輸出拡大に取り組みたい」と話した。