正論

北朝鮮が試みる冷戦構造解体の詭謀 防衛大学校教授・倉田秀也

 だからこそ、6者会談共同声明でも、北朝鮮が「全ての核兵器および既存の核計画を放棄する」との誓約に対して、米国は包括的な「安全の保証」を約したものの、同盟を弛緩させる措置には触れなかった。北朝鮮に非核化を迫る上で、米国が冷戦構造の解体に着手するよりも、経済制裁を科し続けることが正当である。

 もとより、朝鮮半島非核化に応じて朝鮮戦争の終結-軍事停戦協定の平和協定への転換-が議論されるように、非対称な「取引」もありえる。だが、日本と韓国の安全の多くは、冷戦構造に依存している。27日の南北首脳会談が、北朝鮮に朝鮮半島非核化に対して、米国が冷戦構造の解体に着手するとの期待感を抱かせ、実際それに着手するなら、その代価は日本が払うことにもなる。(防衛大学校教授・倉田秀也 くらたひでや)

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