そこには、在韓米軍の非核状態を宣言し、検証を受けることに加え、「朝鮮半島とその周辺に随時展開する核打撃手段を二度と引き入れない保証」が含まれていた。
「その周辺」に核搭載可能な戦略爆撃機がローテーション配備されるグアムのアンダーセン米空軍基地が含まれるのなら、ここで北朝鮮が米国に求める措置は、朝鮮半島の局地的「非核化」を超えた地域的広がりをもつ。それは中国、ロシアの核を不問に付す非対称な「非核兵器地帯化」に近い。
この声明で北朝鮮が挙げたのは、この地域に配備された米国の核だけではなかった。この声明は続けて「核が動員される戦争行為」で、米国が北朝鮮を核で「威嚇・恐喝」しないことに加え、使用しないことを求めていた。この声明は、「このような安全の保証が実際に遂げられるなら、われわれもやはり、それに合致する措置を取ることになり、朝鮮半島非核化の突破口が開かれるようになるであろう」と締め括(くく)っていた。
≪明らかに助長している条件闘争≫
ここで北朝鮮が求めるものの多くは、この地域での米国の拡大抑止の無力化、冷戦構造の解体に等しい。それは、北朝鮮が冷戦終結後、築き上げてきた核・ミサイル能力と、米国が冷戦期に形成した冷戦構造を「取引」することに他ならない。北朝鮮が非核化との関連で「条件闘争」を挑んだのは初めてではないが、過去を振り返ってみると北朝鮮が米国に求める措置は明らかに助長している。