大阪特派員

和食は「大阪料理」から始まった 山上直子

万博誘致メッセージを掲げるかに道楽の看板=大阪市中央区(鳥越瑞絵撮影)
万博誘致メッセージを掲げるかに道楽の看板=大阪市中央区(鳥越瑞絵撮影)

 大阪といえば食い倒れの町。ところが、「大阪料理」とはあまり聞かない。江戸前や京料理といえば、それだけでイメージが浮かぶというのに、いったいどうしたことだろう。

 いやいや、たこ焼き、お好み焼きと、大阪名物のいわゆる「粉もん」があるじゃないか-といわれそうだが、大阪人にとってそれらは「おやつ」のジャンル。少なくとも「大阪料理」というほど、しゃちこ張ったものではないのだ。

 では、大阪料理とは?

 灯台下暗しと、大阪料理会事務局の笹井良隆さんを訪ねた。大阪の料理人でつくる会で、昨年には「大阪料理」(旭屋出版)を刊行している。

 そこには、5つの料理心得、食材第一主義▽食(喰(く))い味▽日本産の食材を使う▽昆布(こんぶ)味を主とする▽大阪人特有の始末の精神がある-とあった。コンブ味、始末などはいかにも大阪という気がする。でも「食い味」とは何だろう。

 「例えば、食べてすぐにおいしいと思うわけではない。でも、店を出るときなんかおいしかったなぁ、と思ってまた(客が)戻ってくる味。商都だからこその味です」と笹井さん。

 うーん、まだわかりにくい。そもそも、その出所は、かつて「京の持ち味、大阪の食い味」と言われたことにある。持ち味とは、あまり労働をしない公家らの好んだ淡泊味で、淡水魚や豆腐、優れた野菜などに合ったものという。江戸はというと、武家や職人に好まれた「甘辛味」。一方で、商都・大阪では全国から食材が集まり、商人や旅人が行き交う中で万人に受け入れられた味が主流になった。

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