米国はシリアのアサド政権が化学兵器を使用したと断定し、英仏とともにシリアの化学兵器施設に対する軍事攻撃に踏み切った。化学兵器使用を理由にした攻撃は昨年4月に続き2回目である。トランプ米大統領をはじめメイ英首相、マクロン仏大統領も、さらなる化学兵器使用の阻止が目的だと強調した。
別表の見出しにも明らかなように社説の論調は大きく割れた。産経が「やむを得ない」として攻撃を容認し、朝日や日経、東京は「無責任な武力行使」などと批判した。
産経は「国際条約で禁じられている化学兵器の使用は絶対に認められない。その決意を行動に移した」ものであるとの見地に立ち、新たな軍事行動は危険を伴うものの「繰り返し化学兵器に住民が苦しめられ、外交的解決が困難な以上、力の行使はやむを得まい」と3カ国の判断に理解を示す。
アサド政権の後ろ盾となってきたロシアはこれまで、シリア内戦をめぐる国連安全保障理事会の決議案に12回も拒否権を行使し続けてきた。英国での元ロシア情報機関員殺人未遂事件をめぐっても米欧とロシアの関係は険悪化している。産経は「常任理事国として極めて無責任」とロシアを非難するとともに、米露が国連の場で真摯(しんし)に議論する以外にシリア問題の出口は見えないと訴えた。