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人工衛星に搭載された太陽電池パネルやアンテナなどは、小さく畳んだ状態でロケットで打ち上げ、上空で宇宙飛行士らの助けなしに自動で広げなければならない。これまでよりスムーズな展開が可能で、開いた後の固定も簡単にできる新しい折り畳み方を、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)などのチームがハサミムシの羽をヒントに生み出した。論文は米科学誌サイエンスに掲載された。
日本が元祖
人工衛星のアンテナなどの折り畳み方として、旧文部省宇宙科学研究所の教授だった三浦公亮さんが考案した「ミウラ折り」が有名だ。平面をまっすぐな縦横の格子で折るのではなく、ジグザグな線に沿って折ることで、折り目が重ならないように小さく畳め、一部を引っ張れば全体が蛇腹のように簡単に伸び縮みするしくみだ。
宇宙研などが1995年に打ち上げた科学衛星「宇宙実験・観測フリーフライヤ」で技術の有用性が実証された。一部の持ち歩き用の地図などでも採用されている。
一方、ETHZのチームは欧州などに生息する「ヨーロッパハサミムシ」の羽の機能を調べた。ヨーロッパハサミムシは飛ぶことができ、農業害虫として忌み嫌われている。観察の結果、羽をスムーズに出し入れできることと、飛んでいる最中はしっかりと羽にロックがかかっているという本来なら相反する2つの条件を両立していることを見つけた。