歴史戦・第20部 孔子学院(3)

「豪州学術界へのマルウエア」 多額援助に中国人留学生…

 豪州の政界や学術界への中国の浸透について、警鐘を鳴らす豪チャールズ・スタート大学教授のクライブ・ハミルトンは今年2月に出版した著作『サイレント・インベージョン(静かなる侵略)』で、孔子学院のことをこう記した。

 「学術界へのマルウエア(悪意のあるソフト)」

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 ハミルトンは著作で、シドニー大学孔子学院の理事、祝敏申に注目した。上海生まれで豪州国籍を持つ祝は1996年、シドニーで親中派の中国語紙「オーストラリア時報」を設立した。法輪功など「反中勢力」を批判し、2008年には、北京五輪の聖火リレーをチベット独立派らから守る中国人留学生の動員に資金提供もした。

 14年3月には中国の国政助言機関、全国政治協商会議(政協)の定例会議に招待されて出席した。南シナ海問題で中国寄りの発言をするなどして今年1月に辞任に追い込まれた野党、労働党の上院議員、サム・ダスティアリに政治献金も行っていた。

 ハミルトンは産経新聞の取材に、孔子学院は中国共産党に対する批判を許さないが、「それを検閲する方法は極めて巧妙だ」と指摘する。

 中国が嫌がる人権問題などを取り上げないよう直接要求するのではなく、多額の資金提供を行い、豪州側に「忖度(そんたく)させる」というのだ。しかも孔子学院を置く大学当局は5カ年の協定を孔子学院本部と締結するが、協定は大学の教員にも公開されていないという。

 産経新聞は事実関係の確認と協定の開示をシドニー大学に求めたものの、12日までに回答はなかった。

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